vol.17 — 誤解の多い聖地 クーカニロコ —
クーカニロコは、王族の女性たちが出産したという場所です。
オアフ島のピコ(へそ=中心地)と言われたこの土地には
王族しか立ち入ることが許されていませんでした。
ユーカリと椰子の木が赤土の大地にそびえ立ち
中心にいくつもの石が点在している神秘的な光景は
ほかにはない独特の土地のエネルギーを感じます。
ここに点在している石の中には、その昔、出産のときの苦しみをやわらげ、
偉大なパワーを与えるマナが宿っているとされるバースストーンがあります。
そしてこの石の上で産まれた子は、高い地位と権力を持つリーダーになれると
信じられていました。
言い伝えによるとクーカニロコでの出産は次のような感じだったそうです。
王族の女性が産気づくと、マットに乗せられてバースストーンへと運びこまれます。
バースストーンの上にはタパ(※1)が敷かれ、女性は岩に座ってカフナのサポートのもと
出産します。出産には36人の王族男性が証人として立ち会うのがルールでした。
生まれた赤ちゃんはタパに包まれて近くの寺院に運ばれて竹で臍の緒を切る儀式を行います。
ここでも48人の王族が証人として立ち合い、王族の誕生が正式に認定されました。
その瞬間、2つの大きな太鼓が打ち鳴らされ、数マイルにもわたって鳴り響いたと
言われています。こうして王族誕生のニュースが近隣の住民に伝えられたのです。
またここには、沈む太陽から延びる影を観測して季節を判断する暦のような役割として
使われていた石、石に溜めた水に映る月や星を見て季節を読んでいたという石、
航海術を学んだ石などもあり、古代ハワイアンの王族にとって、ある意味、
帝王学を学ぶような重要な場所でもあったようです。
古代からここには先祖の霊力が漂うと言われる神聖な場所です。
地元の人たちはここにお参りに行き、エネルギーを吸収して元気になる、いわば充電の場所です。
クーカニロコを訪れる時には、心の中でまず自己紹介をして、
ここを訪れた理由を説明しましょう。
そうすることで土地の持つ霊力が守護してくれて、いいエネルギーを与えてくれます。
そして帰る際にも聖なる土地にお礼を言って帰ることが大切です。
しかしこれはクーカニロコに限ったことではありません。
すべての聖地にあてはまる「当たり前」なことです。
ハワイが好きであれば、ハワイアンが大切に守り続けてきた土地にも敬意を払い、
その場所の儀礼に従いましょう。
興味本位で訪れる場所ではなく、理由があって行くべき聖地なのです。
そうすることでその地も浄化され、聖地としての「気」を維持し続けることができるのです。
特にクーカニロコは、「バースストーン」というその名のイメージで、
まるでこの地を訪れると子宝に恵まれるような「誤った」インフォメーションが
日本では蔓延しています。
しかし……
「この石は妊娠を祈願する為のものではありません」
と、ワヒアワ市民クラブが解説するインフォメーションにも書かれています。
ときとして、その場所の“イメージ”だけで、その地のご利益みたいなものが
誤ってメディアで流され、それを鵜呑みにしてその地を訪れる人が多いのが事実です。
しかし、そもそもハワイの聖地は“ご利益”をもらいに行く場所ではありません。
そもそもパワースポットや聖地と言われる場所はそういう土地ではなく、
自分を見つめなおす場所であり、「こういう自分にならせていただきます」と
宣言しにいく場所であり、自然とつながって気づきを得る場所、
その場所を訪れることができたことに感謝して祈りを捧げる場所なのです。
観光化されることは仕方がないことかもしれません。
しかし、それによって聖地が穢されることをハワイアンの人たちは望んではいません。
それはどこの国の聖地においても同じことだと思います。
正しい理解と正しい訪れ方 ――― それさえ守れば誰でもウェルカムなはずなのですから。
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※1 タパ(tapa)
ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアで伝統的に作られる、樹皮でできた布地
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【Profile】
千田 育(せんだ やすし)
ALOHA ‘AINA CONNECTIONS主宰 。
『癒しのパワースポット ハワイ』(アールズ出版刊)シリーズ4冊を執筆。
モノで満足するハワイより、心に深く刻まれるハワイの魅力、自然からの学びや
ハワイアンの精神性などを人々に伝えるアロハ・コネクターとして活動中。●ALOHA ‘AINA CONNECTIONS
https://www.facebook.com/AlohaAinaConnections

























